「偽情報の武力化」「記録の抹殺」「オルタナティブファクトの蔓延」――。
これらがもたらすのは、単なる誤解ではなく、真実そのものの消失です。
登壇者たちは、空爆によって破壊された建物や命の記録を、現場で集め、多層的に保存するプロジェクトに取り組んでいると語りました。その作業には、目撃証言、命令記録、画像、動画などが含まれ、それらを未来に残すことが責任の追及と人道の再建に欠かせないと強調されていました。
また、誤情報やプロパガンダが日常化するなかで、現場の声をそのまま伝えるメディアやツールの必要性が改めて浮き彫りになっていました。「ナラティブの戦争」とも呼ばれる現代の情報環境において、誰が、どの立場から語るかがますます重要になっているのです。
この議論を通じて、私たちがなぜ「RE:CONNECT」を日本から生み出すのか、そしてなぜいまRE:CONNECTが求められているのか、その理由を改めて深く再確認しました。
日本は、西洋的な言論空間とは異なる立場から、多様な視点に耳を傾けられる数少ない国のひとつです。権力構造や歴史的背景から自由な議論が難しい国・地域も多い中で、日本だからこそ実現できる「中立性」「記録性」「連携性」があります。
RE:CONNECTは、社会的危機の現場から寄せられるリアルな情報を、地図と時間軸で可視化し、複数の組織間で効果的に共有・活用できる情報基盤です。ガザのような複雑で動的な危機状況においても、現場からのナラティブを正確に伝え、意思決定に繋げることができることを目指しています。
また、Beyond the Headlinesにおいても「データの一元化と共有」は多くの登壇者が共通して課題として挙げていた点でした。これはRE:CONNECTがまさに提供しようとしている核心的な価値であり、グローバルな連携のための共通言語とも言えるものです。
私たちは、RE:CONNECTを通じて「記録されないことによる沈黙」を打ち破り、「見過ごされない情報」を未来へと残すためのプラットフォームを構築していきます。
事実を、認識へ。
記録を、連携へ。
声を、未来へ。
RE:CONNECTは、そのつなぎ手であり続けます。
(Text: Taito Oikawa)